個人差もありますが、平均すると30代後半くらいから多くの男性に白髪が出始め、40歳前後には白髪染めを使い始める方が多いようです。
一口に白髪染めと言ってもさまざまな種類があり、さらにメーカーによっても配合されている成分も異なるため、選ぶのも大変です。
今回は、白髪染めを選ぶ際の一つの指標として「pH値」についてご紹介します。
pH値とは、小学生の頃に理科の教科書に出てきたペーハー値のことで、酸性やアルカリ性の程度を表す数値です。pHは1から14まであり、pH7を中性とし、数値が1に近いほど酸性が強く、反対に14に近くなるほどアルカリ性の度合いが強くなります。
pH値がなぜ白髪染めに関係があるのかと疑問に思われる方もいるかもしれませんが、このpH値というのは髪が染まる強さと髪の毛に与えるダメージにも大きく関係しています。
商品にもよりますが、ほとんどのヘアカラータイプの白髪染めはpH10~12のアルカリ性の薬剤が使われています。
人間の髪の毛はpH4.5~5.5の弱酸性でアルカリ性に弱いという性質があるため、ヘアカラーはこの性質を利用して髪の毛に色素を入れていくのです。
髪のキューティクルはpHによって開いたり閉じたりします。酸性が強くなればキューティクルは閉まり、アルカリ性が強いほどキューティクルは開きます。
ヘアカラーは強いアルカリ性でキューティクルを開き、薬剤を髪の内部に浸透させます。髪の内部に浸透した薬剤はメラニン色素を破壊して脱色し、そのうえで染料の色素を発色させることで髪を黒く染めることができます。
簡単に言うとアルカリ性度合いが強ければ強いほど、髪の毛は染まりやすくなります。しかし染まりやすいということと同時に、それだけ髪の毛へのダメージも強くなってしまいます。
ヘアカラーが与える髪へのダメージ
髪の毛は輪切りにしてみるとストローのように丸い筒状になっており、3層の構造でできています。一番外側をキューティクルで囲み、その内側がコルテックスという栄養成分、そして中心はメデュラという空洞の3層になっています。ヘアカラーで白髪染めをする場合は、上でもご説明しましたが、アルカリ性の薬剤を使い、うろこ状になった髪の毛のキューティクルをはがして黒い色素を入れていくのです。
キューティクルは髪の表面で保護膜のような役割を持っているのですが、ヘアカラーの薬剤でキューティクルをはがしてしまうため、髪のダメージを進行させてしまいます。
また、髪の内部に浸透した薬剤は、メラニン色素を破壊するため髪を傷める原因になります。
このように強いアルカリ性を持ったヘアカラーを使い続けると髪にダメージが蓄積してしまい、髪自体の白髪を増やしてしまったり、将来の薄毛・抜け毛のリスクを高めてしまうこともあります。
ヘアカラートリートメントのpHは?
一方、髪を傷めない白髪染めとして人気のあるヘアカラートリートメントの多くは、弱酸性から弱アルカリ性のpH6~8の染料が使われています。- ルプルプヘアカラートリートメント・・・pH8
- 利尻ヘアカラートリートメント・・・pH7
- 玉髪ヘアカラートリートメント・・・pH7
髪の毛がpH4.5~5.5ですので、これ以上酸性が強いと、髪にダメージを与えることはありませんが、今度は髪を染めることが難しくなります。
ヘアカラートリートメントを販売している各メーカーも、pH値をバランスよく調整ながら「髪にダメージを与えない」と「良く染まる」をうまく両立できるよう白髪染めの開発に注力しています。
実際にいろいろなヘアカラートリートメントの商品を使ってみましたが、pH7~8程度に設定されているものがバランスがとれており、染まり具合も良いように感じます。
ヘアカラーで傷んだ髪を修復する方法
アルカリ性の強いヘアカラーを使うと、髪の毛は染まりやすいですがその分髪の毛へのダメージが大きくなります。
これを防ぐにはヘアカラートリートメントを使うのが安心ですが、すぐにはヘアカラーの使用をやめられないという方もおられると思います。
そんな方は、白髪染めをした後に髪の毛を酸性に戻してあげることが必要です。
酸性に戻す一番簡単な方法は「トリートメント」です。シャンプー後にリンスやコンディショナーを使われている方も多いと思いますが、これをトリートメントに替えて使う方法です。
コンディショナーが髪の表面に膜を張ってツヤを出すのに対し、トリートメントは髪の内部に浸透して補修を行ってくれます。
一度キューティクルを開いてしまっているので髪の状態を完全に元に戻すことはできませんが、キューティクル修復の助けとなりますので、トリートメントを使用して髪をケアしましょう。